世界中のデュラニーが羨む日本盤CD「フューチャー・パスト」が手元に届いて、ようやく腰を据えてステレオ(オーディオ)で聴くことができました~。
やっぱり、配信よりも安定した高音質!まだまだ、フィジカルからは脱却できません(汗)。
日本盤CDの収録内容には説明不要でしょう、世界仕様のデラックス盤に「ファイヴ・イヤーズ」が15曲目に追加収録されています。
対訳付きのブックレットには、期待通りスヌーピーこと(これも説明不要ですね)今泉圭姫子様の、デュラン愛があり余る解説を収録。
それでは、トラックバイトラック形式で個別の感想です。毎度、新作レビューの際は長尺になってしまいますが、ご容赦のほど。
①INVISIBLE / インヴィジブル
配信でも真っ先にリリースされた1曲目。コロナ禍真っただ中の昨今での、インパクトがあるナンバーな仕上がりに。
一音目がギターから入ってくるというところも大きなポイント。そして、独特の音の隙間が絶妙です。
そして、サイモンの危機感溢れる説得力のあるボーカルに脱帽(歌詞も!)。
メンバー4人とコクランが一つの塊となって迫る、琴線に触れるオープニング・チューンになりました。
②ALL OF YOU / オール・オブ・ユー
ジョンのベースソロをイントロに始まる、1曲目の悲壮感が嘘のような軽快なポップナンバー。
2NDアルバム「RIO」に収録されていても違和感ないかな?
私のこの曲の第一印象は、まさに「ザ・キラーズ」でした。
で、スヌーピーさんの解説や大貫さんとの配信ラジオでも直近に知ったのですが、プロデューサーのアルカンがキラーズの「THE MAN」の追加プロダクションで参加していたこと、そしてコクランとのコネクションとなったことに納得(このCDは所有してたのに、全く意識していませんでした)。
デュランが期待していたサウンドが、アルカンとコクランの繋がりから具体化したとでも言いましょうか。
③GIVE IT ALL UP (feat. Tove Lo) ギヴ・イット・オール・アップ(feat.トーヴ・ロー)
配信第4弾として発表されたこの曲ですが、アルバムでは次の曲のための前奏曲的な印象です。
曲自体の流れがミステリアス感を残すために、平板というか、メリハリに欠ける感じです(あえてそうしたのでしょう)。
そこをフューチャリングのトーヴ・ロー嬢の力を借りて、アルバム中での存在感を残すことが出来たと思います。そしてアウトロは次の曲に繋がります・・・!。
④ANNIVERSARY / アニバーサリー
この曲にあれこれ文句を言うデュラニーはいないでしょう!ジョンの「つべこべ言わず、これを聴けっ!」ってな表情が浮かびます。
そう、正に唯一無二の、これこそ王道デュランサウンド。
曲の軸として「HUNGRY LIKE~」や「HOLD BACK THE RAIN」「THE REFLEX」、ブリッジ部では「IS THERE SOMETHING~」をも連想させるナンバー。
還暦バンドが奏でる曲とは思えない、迫力あるバンドサウンドには、彼らの過剰なまでの自信が溢れています。オーイエー!!
ここまでが、このアルバムの第1部とでもしましょうか。
⑤FUTURE PAST / フューチャー・パスト
この曲で、アルバムは一服。サイモンお得意の牧歌的ナンバー。
満天の星空が浮かぶ、心が洗われるような、澄み切ったサウンドでもあります。少し肌寒い、秋の夜長にもピッタリです。
別の曲でも取り上げますが、デヴィッド・ボウイへの敬意も間接的に感じられ、サイモンの優しさも溢れる、そんなバラードかな。
⑥VERVET NEWTON / ヴェルヴェット・ニュートン
この曲はスタンダード盤や配信には含まれていないボーナストラックの1曲。
もろにフューチャリズム感溢れるナンバー。唐突に入るサイモンのボーカルには意表を突かれます。
シングル「SUNRISE」のカップリング曲「KNOW IT ALL」と同じ系統に位置する感じとも言えるでしょう。
⑦BEAUTIFUL LIES / ビューティフル・ライズ
ジョル爺様参加の1曲目。彼がデュランの後方でシンセを扱っている光景が目に浮かんだりします。ニックは多分嬉しそう。ジョンのベースも飛び跳ねていますよね。分厚いコーラスもいい雰囲気です。
ミラーボールも似合うニューロマ風キラキラナンバー。盛り上がった頂点で、結構あっさり終わります。
⑧TONIGHT UNITED / トゥナイト・ユナイテッド
ジョル爺様参加の2曲目。ライナーによれば3曲あるとのことですので、今後の追加リリースもありそうです。
アバ後期~ドナ・サマーを連想させるスペイシーなアナログなシンセサウンドを軸にしながら、ジョンのベースソロを2NDヴァース前にぶっ込むと言う荒業(笑)!
ロジャーのドラムは比較的軽い感じですが、このテの曲には正解でしょう。
脳裏にはジョル爺様プロデュースのサントラ曲での、フィル・オーキーやリマールの幻影が浮かんだりしました。
ここまでがこのアルバムの第2部が終了、な感じです。
⑨WING / ウィング
この曲の初感は、ボウイの「LADY GRINNING SOUL」(この曲を収録したボウイのアルバム「ALADDIN SANE」はガーソンも参加)でした。故にデュランのボウイに対する敬愛を感じずにはいられない、そんな感傷に浸ります。
アルバム「AYNIN」収録の「MEDITERRANEA」を昇華させた曲との表現も当てはまると思います。また、「Do you believe in shame?」がお好みの方には愛聴曲かなと。
この曲のみロンソンとのセッションからで、彼はギターのクレジットも。中間部のヘタウマ・ギターが彼のものでしょうか?
⑩NOTHING LESS / ナッシング・レス
前曲の流れを汲むスローチューン。アルバム全体では、少し個性が弱いような曲ですが、結構ファンには影では支持されるスルメ曲になるかも。
この曲でもサイモンの次女サフロン嬢がボーカルで参加(他にも⑦⑧⑫で参加)。
コクソンのギターがイイ味を醸し出して、この曲を引き締めています。
⑪LAUGHING BOY / ラフィング・ボーイ
ボートラの2曲目。冒頭から地味で音数の少ないイントロで始まる、箸休め的なナンバーですが、徐々にペースが上がっていくボートラにするには惜しい佳曲かと(ちょっと、アーハっぽいと言えば言いすぎかな~。でも、モートンが歌っても良いかも)。
コクソンのギターソロはグラムロックチックで、彼のアイデアが生かされているように聞こえます。コーラスボーカルでも、サイモンの声が若々しい!
⑫HAMMERHEAD (feat. Ivorian Doll) / ハンマーヘッド(Feat.アイヴォリアン・ドール)
んんん~、⑨以降こうもミディアムテンポの曲が続くと・・・(微妙)。
前作収録の「YOU KILL ME WITH SILENCE」の延長線上にあるようなナンバーですが、アイヴォリアンのラップは正直私には苦手な部類です(TFFの「SHOUT」のラップヴァージョンと被ってしまった)。
ライナーからは、当初配信第5弾の予定だったようです(→結果的には②に変更になります。スヌーピーさんの執筆日の9月5日の時点ではその予定だったのでしょう)。
まあ、基本デュランサウンドは何でもありが真髄(笑)でしょうから。決して守りに入っていないところは大いに評価?
⑬INVOCATION / インヴォケーション
⑫のヴァリエーションのひとつ~コーダ的役割り、と位置付けられそうなボートラ3曲目。
このシンセサウンドは言うまでもありませんが、「THE CHAUFFEUR」や「BEFORE THE RAIN」を感じた方は多いはず。
そして恐らく、私を含め多くのデュラニーズは上記⑫のラップパートより、その箇所はこの曲で展開して欲しかったと思っているのでは?
まあ、⑨からのこのアルバム第3部のメロウな流れを、この曲で断ち切る位置付けでは正解かな。
⑬MORE JOY! (feat. CHAI) / モア・ジョイ!(Feat.CHAI)
当初配信で聴いたときは、ありゃりゃ~やっちまった~~と思いましたが、アルバムでこの位置にくれば妙に納得です。
アルバム後半の雰囲気を一気に覆す、おもちゃ箱ひっくり返しナンバー!
配信リリース時では、ジョル爺様とのコラボ曲かな?と思っていたのですが、クレジット等からではそうではないようですね。
コクソンのギターソロも愛嬌あり、ニックのチープさ溢れるピコピコシンセも漫画チックなこの曲には肯定的です。
ここでも「攻め」の姿勢ですね。
⑭FIVE YEARS / ファイヴ・イヤーズ
ボウイのトリビュートライブでも配信された曲が、目出度く世界で初めてフィジカルリリースとなりました!
円熟味のあるガーソンのピアノは、説得力があり、いつ聴いても身に沁みます。
バックボーカルのアナ・ロスはこの曲のみ参加で、アルバム本体への参加はありませんでしたね。
同様に従来のサポメンではレギュラーであった、ギターのドムも参加していません(=呼ばれなかった、が正解か)。
前作との「変化」を望んだ結論でしょうか。それでも、英国でのコロナ明けライヴでは、ツアーメンバーとしては参加となっています。
⑮FALLING (feat. Mike Garson) / フォーリング(Feat.マイク・ガーソン)
全てのフォーマットで、この曲はラストを飾っています。
通常であれば、ボートラの類は、巻末にまとめて収録されることが通例と思いますが、ここにも彼らの拘りを感じることができます。
勿論、その理由の一つにガーソンへの尊敬の念があるでしょう。
過去も現在も未来においても、彼らなりのリスペクトの現れとでも言いましょうか。
長文(駄文)、にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。評論家気分の自己満足に終始してますが、皆さんの暇つぶしにでもなれば幸いです。
まだまだ、リリースから数日ですので、これから皆さんも感じるものが変わってくると存じますし、私も同様です。
今のところ、配信ではニック(の多種多音のシンセサウンド)が前面に出すぎか?との印象でしたが、CDで聴けばそうでも無く、コクソンもいい味出してるし、ロジャーの多彩多種のドラムもメリハリがある、サイモンのボーカルは艶がありまだまだ健在、そして久々にジョンのベースが結構ドーンと構えてる姿が浮かぶ印象でしたね。
伝記映画の構想もあるようですが、まだまだ過去の遺産にしがみつくことなく、前進しそうな彼らに今後もついていけそうです!
CELEBRATE ANNIVERSARY!!